畳の原材料となっている『い草(漢字では「藺草」と書きます)』。
ご存知のように、日本の住宅から和室が減っていることもあり、それに比例して、い草の農家さんの数も年々減少しています。
僕は1977年に生まれた43歳なのですが、その翌年の1978年が全国の「い草農家」の数がもっとも多く、8,500戸。それが今では、たったの350戸。そして、毎年約40戸の農家さんが離農しているそうです。
い草の栽培はとても手間がかかります。苗から育てて、今も手植えの作業が多く、寒い時期に植えて、暑い時期に収穫する。そして、収穫するだけでなく、年中フル稼働で織り続ける。しかも、畳のサイズは地域によって違うので、それぞれに合わせて織らないといけないのです。だから、続けていくだけでも大変なのです。
そこに、安価な中国産の畳表が流通してきたわけです。現在、日本で流通している畳表の8割が中国産のい草が使われているそうで、国産は1割。残りの1割は「和紙」「樹脂」を使った化学表が使われています(裏付けは取っていないので断定はしませんが、中国産の4割は国産と偽装されて流通しているとも言われていたりします…)。そう遠くない将来、化学表が国産のい草のシェアを抜くとも言われていたりします。
これが、今の日本のい草農家さんの現状。で、ここからが今日の本題。
い草農家さんは知識も経験もあるので、野菜や果物もつくれたりする。そう、いくら畳の文化を絶やしたくないという想いを持っていても、生き残っていくためには売れなくなったい草をつくり続ける必要はないのです。そう、趣味やボランティアでやっているわけではないから、想いだけでは続けられない。
何が言いたいかというと(本音はい草農家の現状を知ってほしかったのですが…)ビジネスパートナーはいつも、当たり前のように存在しているとは思わないほうがいいということ。求めたときに、相手はいなくなっているかもしれない。だから、自分たちのビジネスの現状を正しくアウトプットすることだけでなく、『ビジネスパートナーの現状と、商品としてのアドバンテージを正しく知る(=理解する)』ことが大事なのです。
そう、漆と同様、中国産の品質が悪いわけではありません。ここを誤解してはいけない。それをしっかりと理解したうえで大事なのは、国産を使う価値や意義を地道に届けていくことなのです。だから、正しく知る必要がある。
最後に。
先日も『なぜ伝統工芸をなくしてはいけないのか? なぜ残していかなければならないと、僕は考えているのか?』という記事を書きましたが、だから僕はこれからも、畳の文化を残していきたいのです。ただただ畳が好きだということもありますが…。僕なりにあがいてみたいと思います。