自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

「使えればいい」と「使って心地よい」の間には、大きな川が流れている

僕の目の前には今、1本の万年筆と、1本のボールペンがあります。
どちらも「書く」ための筆記用具としてだけでなく、僕の気持ちを盛り上げてくれる「相棒」と呼べる存在です。

 

皆さんがいつも使っているアイテムたちは、「使えればいいアイテム」が多いでしょうか? それとも「使って心地よいアイテム」が多いでしょうか? 僕はどちらかというと物欲が少なく、持ち物を減らす方向で生きている分、特に仕事のアイテムは「使って心地よいアイテム」を選びます。

 

で、ここで急ではありますが、伝統工芸品の話を。

 

伝統工芸品を持つことの価値を語るとき、その価値を実感している多くの人たちは「使えればいい」と「使って心地よい」の違いだと話してくれます。そう、最後は使う人の気持ちに寄り添えるかどうか。ただ、残念ながら伝統工芸品の価値は、技術や手間(=丁寧な工程)で語られることが多い。わかりやすく書くと、「手間がかかっているからこそ、価格が高い」と言われてしまうのです。

 

伝統工芸品は手間がかかるから高いわけではなく、「使って心地よい(=使う人の気持ちに寄り添う)」を追求しているからこそ、手間がかかり、価値が生まれるのです。言い換えると、手間をかけたからと言って、必ずしも良い商品ができるわけではない。ある人にとっては、1ヶ月かけて丁寧につくられた伝統工芸品の器よりも、お気に入りの若手作家さんがつくった器に価値があるときもある。僕の言いたいこと、しっかりと届いているでしょうか?

 

「使えればいい」と「使って心地よい」の間には、大きな川が流れています。
どちらのアイテムを手にするかで自分の気持ちが大きく変わるからこそ、何を選ぶかを大事にしてほしいと思うのです。