「ニッポン手仕事図鑑の映像のクオリティは、具体的にどの部分がすごいのですか?」
これに近い質問を、僕は結構な頻度でされます。
正直、専門的な視点や知見でその差を理論的に語れるほど、僕はまだまだ映像をわかっていません(もちろん、映像制作のお仕事や動画メディアを7年以上もやっているので、そこそこはわかっていて、語れるつもりではありますが…)。
ただ改めて、映像や写真について強く思うのは、「どう撮るか」という技術よりも、「どう被写体と向き合うか」という姿勢や気持ちが大切だということ。
僕らは今週ずっと、愛知県名古屋市内の伝統工芸の職人さんの工房をめぐり、作業風景の写真を撮影しています。ニッポン手仕事図鑑のカメラマンが撮る写真を1枚1枚見ていて思うのは、被写体とどんな気持ちで向き合い、どんな言葉を交わすかで、何を撮る(伝える)べきかがしっかりと見えてきて、結果的に写真に気持ちがこもり、見る人の心を動かす1枚になるということ。
かっこつけて言うと、その1枚を技術で撮るのではなく、気持ちで撮る。もちろん、技術がなくていいというわけではまったくなく、同じ技術を持っていても、被写体への思いの差が、間違いなくその1枚に現れるということです。真剣に向き合い、熱く言葉を交わしたあとだからこそ、撮れる1枚がある。そんなふうに思うのです。
そう、職人さんとの向き合い方が変われば、とっておきの技術や商品を見せてくれるし、職人さん自身の表情や仕草も変わる。撮れる1枚が変わる。
やっぱりそこが、僕らが求める映像や写真のクオリティだな、と。