「釣具のポスターのキャッチコピーを書くときはね、ポスターを眺めるお客さんと同じ場所に自分を置いてみることが大事。つまり、釣具店に行って、今から自分が制作するポスターをイメージしてみる。どんなビジュアルとコピーがあったら、その商品を手に取ってみたくなるか。デスクで唸っているだけじゃ、いいコピーは書けないよ」
僕がコピーライターの師匠に教えてもらった、本当に大事なこと。
師匠は口だけでなく、化粧品のコピーを書くときはドラッグストアに足を運んでいたし、自動車用品のコピーを書くときは、オートバックスやイエローハットに行っていました。何なら自分がコピーを書いたポスターをプリントアウトして持っていき、さすがに勝手に貼るなんてことはしていませんでしたが、店内でポスターのチェックをしていました。
僕は今、今年の秋に出版する(できれば夏がいいけど、無理かなぁ…)子ども向け図鑑の企画を、編集者さんと一緒に考えています。いつも企画を考えるときはA4サイズのノートかA4用紙を使っているのですが、図鑑の企画を考えるときは、“A5”のノートを使っています。
そう、その図鑑のサイズが、A5だから。
同じサイズのノートを持ち、手に取る子どもたちの気持ちになって、そこに書かれるであろう文章やイラストをイメージする(自分で原寸大の文字やイラストを書いてみる)。図鑑のタイトル案が浮かんだから、プリントアウトして本屋さんへ行く。その文字がどんなイラストとともにあったら、子どもたちは手に取るか? さらに書くと、書店員さんが「これは売れそう!」と思ってくれて、いい場所に置いてくれるか。頭の中だけで考えていても、「これだ!」という答えは出てこないものです。
頭の中だけでは、素敵なクリエイティブはできない。
答えはやっぱり、いつも現場にあるのかもしれません。