「やりたい仕事なんてないし、いつまで経ってもそんな仕事が見つかる気もしない…」
「今の仕事にやりがいを感じないから、好きな仕事がある人が羨ましい…」
そんなふうに悩んでいる20代、30代の人に向けて、まずは僕が尊敬する松浦弥太郎さんの言葉を贈りたいと思います。
「社会人になり二〇代、三〇代はあらゆる球に手を出す時期だ。それが若き日々の「やるべき仕事」でもある。手にできた豆が破れるくらい振りまくればいい(松浦弥太郎 著『正直』より)」
僕は20代、30代と、勤務する会社はもちろん、職業も肩書も変えてきました。
それは計画的に変えてきたのではなく、あらゆる球に、それこそ手に豆ができて破れるくらいに手を出してきた結果、自然とそういう道ができただけです。そして、その道の途中で「やりたい仕事」「好きな仕事」「やりがいを感じる仕事」と、“たまたま遭遇した”だけなのです。そう、20代の僕は、30代になったときの自分が動画メディアを立ち上げるなんて、一瞬でさえも想像したことがなかった。まさに「計画的偶発性理論」です(この話は過去記事をご参照ください)。
手にできた豆が破れるくらいに振り続けていると、自分の得意な球、打ちやすいフォーム、タイミングのとり方などがわかってくる。ヒットが打てるようになると視野が広がり、「やりたい仕事」があれこれと見えてくるし、今までは何とも思っていなかった仕事が「やりたい仕事」になったりもする。僕もこの経験をしてきたからこそ、レベルは違うものの、松浦さんの言いたいことがわかったりもする。
もしかすると今、20代、30代のあなたが「やるべき仕事」は、立ち止まってじっくりと考えることではなく、あらゆる球に手を出すことかもしれません。
僕は今、44歳。
今でもあらゆる球に手を出し続け、たまにヒットが打てたりもしますが、よく空振りもしたりします。それでもやっぱり、今も振り続けたいと思うのです。なぜか? 明日の自分の「やりたい仕事」が、また出てくるかもしれないと期待しているからです。