青森県三戸町という小さな町に、『あんべ』という名の小さな居酒屋があります。僕はこのお店が大好きです。
大好きな理由をパッと3つ挙げてみると、ひとつ目はただただシンプルに、料理とお酒が美味しいこと(必須条件ですね)。ふたつ目は集まってくるお客さんが楽しいこと。最後の3つ目は、店主の健徒くんが好きだから。なぜ好きかというと、人柄はもちろん、友人として話していて(一緒に釣りに行ったりするときも)楽しいからでもありますが、会うたびに“ビジネスマンの健徒くん”が新たな気付き(学び)を与えてくれるというのも、大きな理由だったりします。
で、昨日まで三戸町に滞在していたのですが、やはりまた新たな気づきを与えてくれました。
健徒くんの料理の師匠は、修行中の健徒くんに常にこう話してくれていたそうです。
「美味い料理のつくり方より、美味い料理を知れ!(食べろ!)」
つまり、自分のお金や時間を「美味い料理のつくり方を学ぶ」ために投資するのでなく、「美味い料理を知る(=食べる)」ために投資しろ! という教え。
健徒くんはその教えを守り、「美味しい料理を知る」ことを日々大事にしています。健徒くんとよく一緒にいる五十嵐さん(注:三戸町在住の『あんべ』の常連客であり、健徒くんや僕の釣りの師匠)も、「健徒くんは美味しい料理を出す店があれば、よく食べに行っている」と言っていました。
この師匠のアドバイスは「味を盗め」ということではなく、つくり方から覚えてしまうとそのとおりにしかできないけど、「美味しい料理を知る」ことで、「どうやってつくるんだろう?」という探究心が芽生えて、あれこれ考えるようになるからではないかと僕は勝手に解釈しています。そう、試行錯誤する習慣が身につく。何かのレシピを教えてもらっても、「もっと美味しくするためにはどうすればいいだろう?」と考えることが大事なので、「美味い料理のつくり方より、まずはとにかく美味い料理を知れ!」と言ったのではないのかな、と。
それは僕らが生業にしている映像も同じ。
確かに周りを見渡してみても、やり方から学んだ人でクオリティの高い映像をつくる人はいない。まずは素晴らしい映像をたくさん観ることで、向上心、探究心、工夫、分析力など、たくさんの力を得ることができる。それこそが、制作する映像のクオリティにつながる。
◯◯のつくり方を学ぶ前に、自分が素晴らしいと思った◯◯により数多く触れてみる。
ノウハウが溢れている時代に、当たり前だけど忘れがちなことなので、今日は共有をさせていただきました。