いわゆる「勝ち組」「成功者」と呼ばれている、勢いのある人たちの言葉に耳を傾けていると、「勝たなくてもいい。負けなければいい」というフレーズがたびたび飛び出してくることに気づきます。それぞれに意味合いや考え方に若干の違いはあるものの、僕はそれらに共感していて、自分自身もビジネスを進めていくうえで大事にしています。
では、「負けなければいい」とはどういうことか?
たとえば、僕らはよく都道府県庁または市町の自治体のプロポーザル(=競合コンペ)に参加します。地域が抱える課題に対して、いくつもの会社が企画提案して、もっとも優れた企画を提案した会社が選ばれ、業務を委託、遂行していくというものです。
そこは勝負の世界なので、勝つこともあれば、“負ける”こともある。
「あれ? 負けてるじゃん…。『負けなければいい』という言葉はどこに行った?」という声が聞こえてきましたが、もちろん、“そのままの状態”では終わりません。
もしプロポーザルで負けてしまっても、「今回は力になれませんでしたが、◯◯という形(企画)では貢献できるかもしれません」と、自分たちが違った形で地域に貢献できることを伝えて、次の仕事につながったこともありましたし、負けたプロポーザルの企画をさらにブラッシュアップして自主プレしたものが、その翌年の施策のベースになり、お仕事になったこともありました。そう、プロポーザルでは負けましたが、未来につながる“負け”に変えたのです。
冒頭に書いたように、「負けなければいい」と語る人たちの意味合いや考え方は人それぞれですが、僕の場合の「負けない」は、どんな形であれ、未来につなげていくことです。
そして最後に大事なことをひとつ。
「負けなければいい」の大前提にあるのは、“まず1発目に、しっかりとしたクオリティを出すこと”です。つまり、負けたとしても、僅差で負ける。大差で負けたら別の企画を提案しても、企画をどんなにブラッシュアップしても、未来にはつながらないのです。この大前提は、とても大事です。