僕は今の会社に入社するまで、(本格的な)映像制作の仕事をしたことがありませんでした。37歳からの初挑戦。映像とは何か? をひとつひとつ学び、少しずつ映像制作のお仕事をいただけるようになりました。もう7年も前の話です。
今日、ふと気づいたこと。
僕が映像制作をはじめたばかりの頃の見積もりと今の見積もりでは、おそらく1.3〜1.8倍くらい“価格が上がって”います。それはもちろん、同じクオリティのものをただ値上げしたのではなく、価値ある(課題解決につながる)映像を提供できるようになったから、比例して価格を上げたわけです。
では、そのときの価格で制作できないか? と言われたら、やりませんが(工数的には)できます。
なぜやらないのかと言われたら、映像制作の価値を下げることになるからです。
たとえば、僕らが80点のクオリティを100万円で提供していたとしたら、少し未熟な(レベルアップをしないといけない)若手クリエイターの60点のクオリティは70万円で買ってもらえるかもしれない。
でも、80点のクオリティを僕らが70万円で提供してしまったら、若手クリエイターの60点は40万円くらいになってしまう…。僕らが(価値とともに)単価を上げず、価値とともに安さを売りにしてどんどん選ばれ続けるということをやってしまうと、未来のクリエイターは育たない。そして、僕らもスキルアップできないし、次のステージに向かう余裕も生まれない。そういう展開だけは避けたいのです。
これは映像制作だけでなく、僕らが関わっている伝統工芸も同じ。いや、すべての業界で同じだと思うのです。価値と価格を合わせていかないと、結局は誰の未来も拓けないのです。