「羨ましいです。発信を頑張っているからですよね」
ニッポン手仕事図鑑は今、大手企業や行政などから、さまざまなプロジェクトの依頼や相談をされる機会が増えました。その状況を見て、冒頭のように反応してくれる人たちがいます。もちろん、褒めてくれているわけなので、とても嬉しいし、メンバーが情報発信を頑張っているからこそ、確かにチャンスが生まれている。間違ってはいません。
そう、間違ってはいないのですが、ただ…少しだけ“ズレて”はいる。
昔は良いモノをつくれば、売れた。でも今は、良いモノをつくっているだけでは売れない。しっかりと情報発信(=届ける、伝える)ことをしないと、今は「売れない時代」なんだ。そんなふうに言われたりします。
でも、これは言い方を変えると、このようにも言えます。
「良いモノ“でなければ”、どんなに発信しても売れない。100万人に届いても、売れない」
ニッポン手仕事図鑑は2015年1月に立ち上げて、6年間、提供できるコンテンツやサービスを磨いてきました。ようやくそれが「良いモノ」になってきたので、少しずつ売れるようになってきただけです。良いモノを提供できていなければ、どんなに発信を頑張っても、売れないと僕らは考えています。
企業や個人を問わず、今は商品を磨くことをおろそかにして、商品を届けることに時間を費やしている人が多い。余計なお世話で最近勝手に心配しているのは、磨くことをせずに、自分を知ってもらおう(売り込もう)! と考える20代や30代が多いこと。でも、届いたとしても、ガッカリするだけだと思うのです。なぜなら、売れないから…。
自分が今やるべきことは、「届ける」と「磨く」のどちらか?
今、目の前にある貴重な時間を使うのなら、「届ける」と「磨く」のどちらに時間を費やす時期か?
届けることばかりを考えてもダメ。ずっと磨き続けていてもダメ。「届ける」と「磨く」のどちらに力を入れるタイミングなのかを見極めながら、そして双方のバランスを取りながら、動いていくことが大事だと思うのです。