自分の仕事は、自分でつくる

10年後の「自分」と「仕事」をつくる、行動力の磨き方

2度目、3度目の楽しみ方を提案するところまでやって、はじめて「映像」は完成する

僕が仲良くさせていただいている職人さんのひとり、製硯師の青栁貴史さんは、ニッポン手仕事図鑑の新作映像が公開されたとき、ちょっと面白い“楽しみ方”をしています。

 

ひと言で書くと“2回観る”のですが、1回目は映像は観ないで、作業音や職人さんの言葉を“音声のみで”楽しむ。「この作業音を出すときは、職人さんはこんな気持ちになっているんじゃないか?」「落ち着いた渋いトーンで話すから、職人さんの顔はこんな感じかな?」などと、イメージを膨らませていく。そして、答え合わせも兼ねて、2度目で“映像を楽しむ”そうです。

 

僕はそれを聞いたとき「素晴らしい楽しみ方だな」と感動すら覚えました。と同時に、編集長としてその楽しみ方が思い浮かばなかったことが悔しく…。でも、ぜひオススメしたい楽しみ方なので、「青栁さん流の楽しみ方なんですけどね…」と、いろいろな方にご提案しています。実際に青栁さんと同じように楽しんでいる方もいて、手仕事図鑑の映像の“2度目”を楽しんでいる人も増えています。

 

ニッポン手仕事図鑑の存在意義を、ざっくりとシンプルに書くと、「職人さんに興味を持ってもらうこと」です。
そこから作品を買う“使い手(=消費者)”になってくれる人もいれば、“作り手(=後継者)”になってくれる人もいる。もちろん、“伝え手”として、僕らのような情報発信をはじめる人もいる。そういう人をひとりでも増やすためにも、映像は1回だけでなく、2回、3回と観てもらいたい。本と同じで、1回では気づけないことも多々あるので。

 

でも、ただ「2回目も観てね!」と言っているだけでは誰も観ない。だから僕は、青栁さんのアイデアをお借りして、視聴者に「2回目の楽しみ方」を提案しているのです。

 

僕が著書を読んだり、voicyを聴いたりしているキングコングの西野亮廣さん。昨年末に『映画 えんとつ町のプペル』が公開され、日々監督である西野さん自らが動き、映画の宣伝をされていますが、“2回目”の楽しみ方として、ご自身が映画について語る副音声を第1弾、第2弾と公開して、2回目、3回目も楽しめるように提案をされています。

 

この戦略を批判したり、笑う人もいますが、僕は1本の映像を観てもらうことの大変さを知っているので(手仕事図鑑は無料ですが、映画はお金を払うというハードルもあるわけで…)、そこまで考えて、実際に行動できるのはすごいな、と。青栁さんのときと同様、悔しい思いを噛み締めながらも、新しいアイデアも思いついたりもしたので、負けじと動いていきたいと思います。

 

で、長々と書きましたが、結局何が言いたいかというと、ひとつの作品に対して、2度目、3度目の楽しみ方を提案するところまでやって、はじめて「映像」は完成する。これを書きたかったのです。映像は、つくって終わりではないのです。