「伝統工芸」や「農業」、あるいは「地方」もそうかもしれませんが、厳しい状況に置かれながらもその反面、熱烈な支持者がいるカテゴリというものが存在します。
それはそれでとても喜ばしいことなのですが、ただひとつ残念に思うのは、魅力を届けていくときに「そうではないもの」と比較して、それらを“否定”することで魅力を引き立たせようとする人が多いこと。しっかりとした魅力があるのであれば、「量産品」や「外国産」を否定する必要はないし、「都心」と比べて、優劣をつける必要もない。「日本の文化」を誇るときに、「あなたの国とは違うでしょ!」と表現するメディアがあったりしますが、それも同様です。
比較するということは、同じ土俵にいることであり、常に比較して、勝ち続けなければいけないわけです。でもベストなのは、比較対象を立てず、“それだけ”を見つめてもらい、魅力を感じて、好きになってもらい、応援してもらうこと。
たとえば、アーティスト。
熱狂的なファンに支えられているわけですが、誰々よりも歌や演奏が上手いから、あるいは誰々よりも見た目が好みだから、という理由で好きになっているわけではないのです。シンプルにその人、そのグループが好きだから、ファンになるのです。
そう、誰かと比較して、魅力を引き立たせているうちは、ファンは生まれないのです。
比較をしないと(もっと強めに書くと、別の何かを落とさないと)魅力が表現できないのであれば、まずは魅力を高めることに目を向けること。真剣になること。
そこが大事だと思うのです。