『逆境を「アイデア」に変える企画術』
僕が今、読んでいる本です。
その本の前半部分に、僕が広告を制作するにおいて、何よりも大事だと考えていることが書いてあったので、共有したいと思います。
著者の河西智彦さんはクリエイティブ・ディレクターであり、CMプランナー、コピーライターとしても活躍されている方です。その河西さんが2012年、「ひらパー(ひらかたパーク)」の開園100周年を迎えたとき、初代「ひらパー兄さん」や「パーライオン」、ブラックマヨネーズの小杉さんを起用した「生まれたての小杉。」などのポスターをつくり、それらがSNSなどで話題になって、大阪コピーライターズ・クラブ主催の広告賞でその年のグランプリを受賞しました。
そう、世の中から見たら、大成功。でも、実際には年間の来園者数はほとんど増えなかったそうです…。結果的にこの失敗が「ひらパー」のV字回復の転機となるわけですが、そのエピソードはさておき、河西さんは広告賞を受賞して話題になっても、結果を出せない自分が広告クリエイターを名乗っていいのか? と葛藤したそうです。
実はまったく規模は違いますが、僕も同じような経験をしたことで、「面白い広告」と「結果を出した広告」は違うんだと痛感させられた経験があります。
前職のインテリア関連の企業に勤めていたとき、フラッグシップ商品のソファがあったのですが、広告関係の本で紹介されるような広告を制作できて、外部や内部を問わず、「この広告はいいね!」と評価していただいた広告を世に出せても、正直、そんなに販売数は伸びなかった…。そう、周囲の評価と結果が、思うように比例しない…。
そこで僕は会社が目指すブランドイメージとは異なる、実用性を訴求したビジュアルとともに、これまでの“ブランドイメージを訴求するキャッチコピー”を廃止して、「1時間に1台、売れているソファ」というベタなコピーに変えました。その結果、販売台数は伸びに伸びて、年間でその商品だけで◯億円(やっぱり、ここは伏せます…全体の20〜30%)を占める売上げを記録しました。
そのときに僕は、改めて実感しました。
面白い広告(情報発信)と、結果を出せる広告(情報発信)は、多くの場合は同じではないということを。そして、広告とは商品やサービスを売るための情報発信なので、どんなに面白くても結果(売上げ)を出せなければ、それはやっぱり違う。目指す結果を出してこそ、役割を果たしてこそ、広告なのです。