今日、僕は滋賀県東近江市で、ある“ふたり”の職人さんの取材をしてきました。
そのふたりの職人さんとは、「真田紐」という伝統工芸品をつくられている母娘。お母さんは御年90歳で、長年に渡り、真田紐という産業をひとりで守ってきた人。そしてもうひとりは、母がつないできた技術を、次の世代に残していくという役割を担う決意をした娘。
今日は滋賀県東近江市で、
— 大牧圭吾|ニッポン手仕事図鑑 (@by_waterman) March 19, 2020
「真田紐」の撮影。
90歳にて、まだ現役。
おしゃべりしているときは
本当に笑顔が優しく、
でも、
織っているときは凛々しく。 pic.twitter.com/xiMAcS70OC
インタビューでふたりは(個々にインタビューをさせていただきました)、それぞれに心の奥底に眠る思いをぶつけてくれて、何と合計2時間を超えるインタビューに。職人さんのインタビューはいつも、どんな本を読むよりも心にズドンと響いてくるのですが、今日は自分自身の今後の人生にも大きな意味を持つ時間になりました。少し本題から話が脱線しますが、この2時間のインタビューのうち、映像に使用するのは多くても15分。お蔵入りにする1時間45分をどう伝えていくかは、やっぱり僕の重要なミッションのひとつだな、と。
さて、今日の本題。
熟練の職人と言えども、いつも手が動くわけでもなく、いつも気分が乗るわけでもない。インタビューの途中、ぽつりとこんな言葉をプレゼントしてくれました。
「一歩がなければ、二歩目はない。5メートル織るのが苦しかったら、まずは5cmと織る。そして、もう少しやれそうだったら、もう5cm織る。その積み重ねでしかないんです。いきなり5メートルやろう! とするのは難しい。うん、やっぱり一歩がなければ、二歩目はないんですよね」
今、自分がやっている仕事に対して気持ちが乗らない人は、最初からゴールである“一番大きな数字”を見てしまっているのかもしれません。
それでは体は動かないし、ときに心が折れそうにもなる。だから、まずは最初の一歩。そして、次は二歩目。職人さんだって、その積み重ねで腕を磨き、商品をつくり、結果を出しているのです。
あのイチローも言っていました。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道」だと。いきなり5メートルは目指さなくていい。まずは5cm、前に進もう。