たとえば、「明日のA社さんへのプレゼン、部長のBさんと担当のCさん、Dさんの計3名が同席されるみたいだから、プレゼン資料を一式準備しておいてね」と、上司や先輩から指示されたとします。
その指示をシンプルにまとめると、「プレゼン資料を3人分、用意しておいてね」ということ。
でも、そこには“その指示以外の指示”も含まれています。
言うまでもなく、プレゼンターである指示を出した上司や先輩の分も用意しておいてね、という指示は含まれるし、プレゼン資料に別添する資料がいくつかある場合だったら、「相手に渡しやすいよう(受け取りやすいよう)に、クリアファイルに入れておいてね(説明する順番に並べて入れてね)」という指示も含まれる。さらに書くと、「もし『会議室のモニターに映してね』とお願いされたときに、すぐに対応できる準備もしておいてね」という指示も含まれるわけです。
あるいは、「E社さんへのアポを取っといてね」と指示されたときなどは、「先日の会食のお礼も言っておいてね」や「招待してもらったイベントの感想も伝えておいてね」という指示が含まれていたりする。
社会人3年目くらいの社員であれば、世の中の上司や先輩は1から10まで具体的に指示を出してあげると思いますが、それ以上の年齢の(経験を積んだ)社員であれば、伝わって当然だと考え、わざわざ伝えることがお互いに時間の無駄なので、誰も言葉にしてくれません。「言わなくても、さすがにわかるよね?」で終わりなのです。
今、大学生や社会人3年目までの人と接することが多いのですが、すべて指示してもらえるのは、“今のうちだけ”だということは伝えておきたい。それ以上の年齢になると、「思考停止で、想像力がない…」と一刀両断されてしまうわけです。だから今のうちから、ひとつの指示の中にある「もうひとつの指示」を想像する癖をつけておきましょう。