もう数年…いや、十数年前の話になりますが、あるテレビ番組でこんな実験をしていました。
都内某所の有名なパスタのお店に、普段からおいしいパスタを食べている3人の女性を招待する。その女性たちは“あの有名なシェフ”がつくるパスタが食べられると、足取り軽くお店に向かい、今か今かとパスタが運ばれてくるのを待つ…。
出されたパスタは…お湯を注いだだけでつくられた、インスタントのパスタ。
そのパスタを食べて3人の女性たちは、「おいしい…」とうっとりした表情を浮かべる…。ざっくり話すと、そんな実験でした。
もちろん、女性たちの味覚のレベルが低いという話を言いたいのでなく、人は何かを判断するとき、事前に与えられる「情報」がいかに大きいかを書きたかったのです。
たとえば、僕はコーヒーが大好きで、先日も奈良でおすすめのコーヒー屋さんに連れていってもらい、「あー、おいしい…」と舌鼓を打ちましたが、もしコンビニコーヒーを出されていたとしても、「やっぱり、他とは違いますね…」くらいのことは、平気で言ってしまうと思います…。
これは食べ物だけでなく、日々のビジネスの中での自分自身も同じだと考えています。
もちろん、味(=人間性やスキル等)よりも事前に与える情報(=イメージ)が大事だ! と言いたいわけではありません。味も重要ですが、事前情報次第ではせっかく“いいもの”を出していても、逆に「う〜ん…」と言われてしまうこともあるし、少しの差だったとしたら、それが決め手になることもあるのです。
そう、相手に“何を”出すかも大事ですが、“誰が”出すかのイメージを戦略的に考えることで、周囲の評価も次に巡ってくるチャンスも、大きく変わるということです。