自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

その報酬が、部下や後輩のモチベーションを奪っているかもしれない 〜「アンダーマイニング効果」を意識していますか?〜

面白い心理学の実験の話を聞きました。
ジグソーパズルをつくることが大好きで、休日も遊びに行かず、パズルをつくり続けるほどのAさんに、「パズルをつくったら、お金をあげる」と言って、パズルをつくってもらうことにしました。Aさんはひとつ完成させて、お金をもらい、ふたつ完成させて、またお金をもらう…。

 

で、ある日突然、Aさんに「もうパズルをつくっても、お金はあげません」と伝える。そうすると、Aさんはパズルをつくらなくなってしまうそうです。あれだけ好きだったパズルを…。

 

僕は知らなかったのですが、これを「アンダーマイニング効果」と言うそうです。
「自分は、これをやりたいんだ!」と、内発的に動機付けられた行動に対して、報酬を与えるなどの外発的動機付けを行うことによって、“逆に”モチベーション(やる気)が低減する現象のこと。

 

これはとても興味深い現象だな、と。
つまり、自分自身の行為に対しても、「自分は、これがやりたい!」と心から言えることに対して、誰かに報酬を与えてくれると言われて、「本当? 好きなことで? ラッキー!」と受け取ってしまうと、もしかすると、未来の自分のモチベーションを奪う行為になっているかもしれないのです。これは、怖い…。

 

そして、これは自分自身だけでなく、経営者なら社員、リーダーなら部下や後輩に対しても、注意しなければならないことです。内発的に芽生えた「やりたい!」に対して、いつも頑張っているから! とむやみに報酬を与えてしまうと、社員の明日のモチベーションを奪うことになってしまうかもしれないのです。

 

報酬を与えることは大事。報酬も、モチベーションになる。
でも、与えるべきタイミングを間違えると、明日のモチベーションを奪ってしまうことになるのです。後輩や部下とコミュニケーションをとり、「これは、内発的な動機か?」と、しっかりと見極めていくことが、経営者やリーダーに求められることなのです。