このブログの記事検索で「会いたい人リスト」と検索していただくと、13くらいの記事が出てきます。何度も何度も記事に書くくらいに、僕は「自分が会いたい人」に会ってみたい! という気持ちが強いのかもしれません。
その「会いたい人リスト」の最高峰に常にいたのが、僕が憧れるふたりの巨塔。ひとりが松浦弥太郎さんで、もうひとりが小山薫堂さん。松浦さんは今年3月にお会いさせていただき、「ニッポンものづくりフィルムアワード」の審査員をやっていただきました。そして今週、ついに小山薫堂さんとお会いさせていただき…。お話をした時間は短かったのですが、本当に素敵な人でした。いつかきっと、一緒にお仕事をさせていただきたいと考えています。
その小山さんとお会いする前、オレンジ・アンド・パートナーズの若い社員さんと少しお話をさせていただきく機会がありました。おふたりとも東北芸術工科大学の出身とのことだったので、僕が「あの、伝説の“カレーの授業”をやった学校ですね?」と聞くと、「僕もその授業のことを本で読んで、入学を決めたんですよ」と笑いながら答えてくれて…本当に羨ましかったです。
なに、その伝説のカレーの授業? って…と気になった方もいると思いますので、簡単にどんな授業だったのかを書いてみます。
ある日、小山薫堂さんはひとりの“おばちゃん”をゲストに呼んで、学生たちにこんなふうに問いかけました。
「今日は、ひとりのお母さんに来ていただきました。そして、カレーをつくってもらおうと思います。こちらのお母さんのカレーを食べたい人、いますか?」
小山さんがそう投げかけても、(昼休み後だったから…だったと記憶をしていますが)学生は誰ひとりとして手を挙げなかったそうです。そこで小山さんは「今からこのお母さんのつくったカレーを、みんなに『食べたい!』と言わせてみせます。では、ちょっとお話を聞いてみますね」と、お母さんにインタビューをはじめました。
薫堂「こんにちは。今日はどちらからいらっしゃったんですか?」
お母さん「愛知県から来ました」
薫堂「ご結婚はされていますか?」
お母さん「はい」
薫堂「お子さんはいらっしゃいますか?」
お母さん「はい」
薫堂「男の子? 女の子?」
お母さん「男の子です」
薫堂「息子さんは今、何をやっていますか?」
お母さん「スポーツをやっています」
薫堂「有名な選手ですか?」
お母さん「まあまあ有名です」
薫堂「どんなスポーツですか?」
お母さん「野球です」
薫堂「今、息子さんはどちらにお住まいですか?」
お母さん「シアトルに住んでいます」
薫堂「お名前は?」
お母さん「ありきたりな名前ですが、“一郎”と言います」
薫堂「息子さんは、お母さんのカレーは好きですか?」
お母さん「大好きだと思います」
薫堂「では、(学生の)皆さんにもう1度、聞きます。このお母さんのカレーを食べたい人?」
もちろん、全員が手を挙げました。そう、このカレーをつくってくれたお母さんは、あのイチロー選手のお母さん。薫堂さんは「これが、ブランディングです」と学生に伝えたかったそうです(ちなみに会話の流れや内容は、本で読んだもののうろ覚えなので、正確ではありません…)。
こんな授業が受けられる大学って、いいなぁと、本を読んだとき、とにかく羨ましく…。そして今、生徒として学んでいたふたりの若者が社員として働いているなんて、素敵だな、と。僕も11月、12月と学生に向けて講義をやらせていただきますが、こんな素敵な授業に少しでも近づける授業をやりたいと思います。