スキル、知識、経験だけでなく、情熱、覚悟も含めて、人を惹き付けるあなたの魅力、それがあなたの「ブランド力」です。
あのトヨタの豊田章男社長も「終身雇用の維持が難しい…」と語り、今存在する仕事の多くが10年後にはなくなっていると言われる時代において、自分の収入を守り、楽しく仕事をしていくためには、個人の「ブランド力」がとても重要だと言われています。
僕も、その考え方には賛成です。
「いいモノをつくれば、売れる時代ではない」とはよく聞くことですが、「いい人材であれば、仕事がもらえる時代ではない」も、同じことが言えるからです。
でも、「わたしなんかが、ブランド力と言われても…」という人は多いと思います。そう、多くの人はブランドはやっぱりブランドであって、一部の企業や人だけのものだと考えてしまうものです。
ただ、少し話が脱線しますが、僕の自宅の近くにも35年間続いていた魚屋さんがあり、一昨年に高齢を理由に廃業をしてしまったのですが、近くに安いスーパーがあるにもかかわらず、目の前を通るといつも魚を買い求める地域の人がいました。これも間違いなく、「ブランド力」です。いい魚を売っているだけでなく、お客さまはそのお店で買うことが楽しくて、価値を感じていたのです。
「ブランド力」とは、世界で、あるいは日本で有名になるための力ではなく、小さなコミュニティの中でも、「あなたがいい!」と言われる魅力のこと。自分の会社(部署)の中で、「この仕事なら、キミだ!」と言われたら、そこには間違いなく、あなたの「ブランド力」があるわけです。
では、自分の「ブランド力」とは、どうやって見つけたらいいか?
僕は「あなたらしくない」という言葉の中に、そのヒントがあると考えています。
「◯◯するなんて、あなたらしくない」と言われたら、「◯◯しないこと」があなたらしさであり、◯◯をしないあなたが、ブランドになっている証でもある。そう、「あなたらしくない」の中に、自分のブランド力を見出すヒントがある。
だから僕は今も、「大牧らしくない」「ニッポン手仕事図鑑らしくない」という言葉が出てきたら、悔しい思いはしつつ、「チャンスだ!」と思っています。自分にも見えていないブランド力が、見つかるかもしれないから。
「あなたらしくない」という言葉は、誰もが1度くらい言われているような気がします。つまり、誰もがブランド力を持っているということ。「あなたらしくない」という言葉が出てきたら、冷静になって、耳を傾けてみましょう。