「これをぜひ観てみてください。たぶん、ニッポン手仕事図鑑の映像を制作するうえでも、勉強になると思うんですよね」
そう言って手渡された1枚のDVD。
『180°SOUTH』。
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードと、ザ・ノース・フェイスの創業者であるダグ・トンプキンス。ふたりの運命を180°変えたと言われる伝説の旅を、追体験しようと旅に出た青年を追ったドキュメンタリー映画です。
映像制作の現場にいる者として、その映像に圧倒され(メイキングもよかった…)、今後の大きな学びになったのは言うまでもないのですが…。
それよりも何よりも、登場人物たちの自然に対する想いの強さに、人生をかけて歯を食いしばりながら歩んでいくその情熱に、まだまだ人間としての器が小さな自分が情けなくなり、小さなことでくよくよと悩んでいる自分が恥ずかしくなりました。ありがたいことに、映像を観終わったあとは気持ちもスッキリとして、前に進む勇気をもらいました。こういう自分の感情と感度をチューニングする時間は、やっぱり大切です。
実は今日のブログは、自分の背中を押してくれる、ある広告コピーについて書こうと考えていました。心に背中を押してくれたり、行動指針になるような言葉を持っていると、強くなれるし、勇気も出てくるよ、と。
でも、それはまた後日のネタとしてとっておいて、代わりに『180° SOUTH』の中で、心にグッときたふたつの言葉を紹介してみようと思います。
ひとつ目は、これ。
「“冒険”の言葉が乱用されている。想定外のことが起きたときこそ、冒険のはじまりなのだ」
これは冒険だけでなく、チャレンジという言葉なんかも同じじゃないかな、と。ここ最近は、自分の中で“結果がある程度は想像できる行動”も、軽々しくチャレンジと言ってきていたりもしたのですが、本当にチャレンジと言えるものだったかな? と。本当の意味のチャレンジや冒険は、もっと違うものなんじゃないか。そんなことを考えさせられました。 そう、“想定外のことが起きない”状況では、自分を成長させてくれる時間は過ごせない。そういえば最近、想定外のことが起きてない…。
そして、ふたつ目。
「人間は歴史から教訓を学べない。その事実が、もっとも大切な教訓である」
これもハッとさせられました。
先輩たちからの、過去の出来事からの教訓から何かを得ようとすることは、もちろん大事。でも、教訓からは学べないという視点で、改めて目の前にある「教訓」を眺めてみると、また違ったものが見えてくるものです。この言葉は映像のストーリーの中で受け取ると、よりグッと入ってきます。
自分の心の中に、どんな言葉を刻んでおくかで、人生の歩み方は大きく変わる。そしてさらに、運命や価値観を、180°変えるような旅(=経験)ができれば、生きることの充実感をもっと感じられるようになるんだろうな、と。
自分の価値観を大きく変えた経験は、20代の頃からいくつか経験してきたつもりですが、「180°」とまでなると、思いつかない…。
きっと、『180° SOUTH』の登場人物たちのように、愛を忘れず、物事と本気で向き合わないと、そんな経験はできないんだろうな、と。その境地に行くには、まだまだ時間がかかりそうですが、やっぱりその先にある景色は見てみたいものです。
「運命を180°変える旅をしよう」
これからの人生の、ひとつの目標ができました。皆さんもよろしければ、ぜひ。