「地方には、仕事がない。だから、仕事“さえ”あれば、若者の流出が抑えられる!」といった意見をよく聞きます。
この意見、皆さんはどう思われるでしょうか?
私は厳密に言うと、「間違い」だと思っています。
確かに、地方は首都圏に比べると、仕事は多くありません。給料も高くなかったりもします。ただ、仕事がまったくないわけではなく、むしろ人が足りないという企業もありますし、生活できる程度の収入を得る仕事もあったりする。その状況でもなぜ、若い人たちは、自分たちの地元から出ていくのか?
少し踏み込んで話を聞いてみると、地方特有の少し近すぎる(プライベートにも干渉する)距離感が苦手だという若者もいれば、仕事は確かにあるけど、本当にやりたい仕事がない! 仕事があれば、何でもいいというわけじゃない! という人もいます。他にも理由はたくさんあります。
地方自治体は今、頑張って地元企業の応援をしています。地域が元気になるには、地元企業が元気でなければなりません。だから、地元企業が元気になっていくのは、とても喜ばしいことです。ただ、それで若者の流出を防げるかというと、話は別です。若者のリアルな気持ちに気付かず、とにかく頑張って雇用を増やそう! 給料を上げよう! と頑張ってみても、若者たちは出て行ってしまうわけです…。なぜなら、本当に求めているものが、そこにはないから。
何が言いたいかというと、「仕事“さえ”あれば、若者の流出が抑えられる!」と、上っ面だけの情報だけ見て対策を練っても、課題は解決できないということ。
「そんなこと、わかっているよ!」という声が聞こえてきそうですが、「じゃ、若者たちの声に耳を傾けていますか?」と聞いてみると、「アンケートをとって、情報収集をしています!」という答えが返ってきたりする。「何度も若者たちと会話をしていますか?」と聞くと、「…」という無言の答えが返ってくる。
上っ面の情報収集と、本音を聞き出すことは別物なのです。
今回は地方の事例を例に挙げましたが、これはすべての仕事に言えることです。「クライアントの信頼を勝ち取れない…」「新規案件が獲得できない…」というビジネスマンも、「離職率が高い…」「採用活動をしても、人が集まらない…」という人事担当者も、上っ面の情報収集だけで行動していることがあります。もう1度書きますが、上っ面の情報収集と、本音を聞き出すことは、まったくの別物なのです。
さぁ、本音に耳を傾けてみましょう。これが一番、難しいのですが…。