複数のITベンチャー企業を立ち上げた、ある起業家のインタビュー記事を読んでいたら、最後にその方の座右の銘が紹介されていました。
「誰にも取れないリスクを取れ」
僕自身の座右の銘は、もっともっとシンプルなものだったりするのですが、でもある時期、これに似た言葉を座右の銘のように、ずっと心の中でつぶやきながら、自分を奮い立たせていた時期がありました。
それは、生まれてはじめてリーダーというポジションを任されたときこと。
是が非でも結果を出し、存在感を示さなければならないというプレッシャーと戦っていたとき、ある先輩から「誰も取ろうとしないリスクを取れ。誰もやっていないチャレンジを選べ」と、背中を押してもらっていたのです。
最初はそんなに大層なことができるわけないと思っていましたが、でも、よくよく考えてみると、先輩は「“世の中の”、誰も取ろうとしないリスク」「“世の中の”、誰もやっていないチャレンジ」とは言っていない。会話の文脈を考えてみると、「会社の中で」と言ってくれていたんだと、そこに気づいたとき、僕の視界はパーッと広がりました。
それから僕は、会社の中で誰も取ろうとしないリスクに目を向けて、新しいチャレンジをしてきました。ただの小売りの企業を出版社にしてしまったり、リスクのある条件で著名な方とコラボ商品を開発したり…。でも、そのリスクを取ったことで、「この人に付いていったら面白いかも…」と仲間が付いてきてくれるようになっただけでなく、リスクを背負った人だけが得られる学び、経験ができて、なかなか見ることのできない景色も見ることができました。その経験が今、思いっきり役立っているし、40歳になった今、新しいチャレンジをする勇気を与えてくれています。
あなたの会社の中で、まだ誰も取っていないリスクはきっとある。そのリスクを選ぶことで、得られるものはとても大きいのです。
その起業家の方も、今世間で注目されている編集者、箕輪厚介さんもおっしゃっていましたが、サラリーマンがリスクを取っても、命や財産を奪われるわけではないし、会社をクビになることすら、むしろ“難しい”。
だから、取れるリスクは、取ってみたほうがいいと思うのです。
僕も本当によく失敗しましたが(千万単位のお金をパーにしたとか…)、最後の最後まで、会社から何ひとつ奪われることはありませんでしたから。サラリーマンって、本当にありがたいですし、サラリーマンだからこそ、取れるリスクがあるのです。