自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

「言葉のレベルを合わせる」というスキルの磨き方

9月23日に発売される『子どものためのニッポン手仕事図鑑』を監修するにあたって、「普段やっている映像制作とは、仕事の進め方がまったく違ったと思いますが、何が一番難しかったですか?」という質問をされました。

 

もともと紙媒体の制作を専門でやっていて、雑誌やフリーペーパー、カタログなどを手掛けてきたこともあり、作業そのものに戸惑うことはありませんでしたが、ひとつだけ最後まで悩み、迷い続けてきたことがあります。というより、本が刷り上がった今でも、「これでよかったのかなぁ…」と悶々とし続けていることがあり…。

 

それは、「言葉のレベル」。

 

今回の本のメインターゲットは、小学校5〜6年生(から中学生まで)です。
結局、小学校5、6年生がこの言葉で理解できるのか? 心に響くのか? もっとふさわしい単語や表現があるのではないか? と考え続けた結果、残念ながら最後まで「よしっ!」という手応えを掴むことができなかったのです…。

 

本を監修する作業を通して、難しさと力不足を痛感されられたのが、この「言葉のレベル」を合わせることでした。本当に悔しい…。

 

書籍の制作に限らず、言葉のレベルを合わせるスキルはすべてのビジネスにおいて大事なことで、サービスや商品を提供する側(専門家)と、購入する側(一般消費者)では、言葉のレベルは当然変わってきますし、40代の社会人(上司)と、20代の社会人(部下)でも、言葉のレベルは変わってきます。言葉のレベルが合わないと、商品やサービスを売ることもできず、教育もうまくはいきません…。仕事ができる人というのは、この言葉のレベルを合わせるスキルが本当に高くて、相手に合わせて話ができるので、仕事の進み方もスムーズですし、信頼もしてもらえて、結果も出せる。

 

で、なぜ言葉のレベルを合わせられるかというと、地道に幅広い層と対話をする機会をつくったり、それぞれの年齢層を対象にした本なども普段から読んでいたりするからです。そして、選ぶ言葉や言い回しなど、どのレベルの言葉でコミュニケーションを取ればいいのかを、時間をかけて分析しているからです。
そう、「言葉のレベルを合わせる」というスキルは、地道な努力の積み重ねで磨かれる。そのスキルも努力も、私にはまだまだ足りないようです…。

 

でも!
ライターさんや編集者さんたちが頑張ってくれたおかげで、子どもたちに“伝わる本(図鑑)”にはなったと思います。お子さんがいらっしゃる方はぜひ、ご購入いただけると幸いです。最後に宣伝ですみません…。


子どものためのニッポン手仕事図鑑