今、買い物難民を救済するビジネスとして、移動スーパーの「とくし丸」が注目されています。
ビジネスとしてはすごくシンプルでわかりやすく、地元のスーパーで売られている商品をトラック(=とくし丸)に載せて、買い物難民の自宅まで行くだけ。そう、小さなスーパーが家の目の前に来るわけです。廃棄ロスをなくす仕組みだったり、運転手(個人事業主)が赤字にならない戦略だったり、地元の商店と共存共栄する姿勢だったりと、細かく語ればキリがありませんが、そのあたりは別の記事をご参照いただくとして…。
「ネットスーパーでよくない? アマゾンでよくない?」
そんな声が聞こえてきそうです。
でも、個人的にはメイン顧客であるおばあちゃんたちがパソコンやスマホを普通に使えたとしても、ネットスーパーではなく、アマゾンでもなく、とくし丸を選ぶような気がします。
なぜなら、とくし丸は「買い物をする」という体験を楽しみたいからです。選んだり、迷ったりする行為に、充実感がある。商品が届くだけでなく、とくし丸は「体験」を提供しています。だから利用者も自然と笑顔になる。
しかも、とくし丸がすごいのは、トラックを運転する人はみな、トラックを走らせるその地域の出身者。知らない人が届けに来るという不安を解消するだけでなく、その地域の話にも花を咲かせることができるわけです。
高齢者をターゲットにしているビジネスだけでなく、今はとにかく「便利」「時間を無駄にしない」が重視されているように思います。が、消費者が本当に求めているのは、そこでしょうか?
私は違うと思っていて、そこに次の時代のビジネスのヒントが隠されていると考えています。