クラウドワークスの2014年10月~15年6月期の単独営業損益が、5億円前後の赤字になったと発表されました。想定よりも契約数が伸び悩み、広告宣伝費や人件費の増加を補えなかったとのことです。
なぜ、契約数が伸びなかったのか?
クラウドソーシングとの相性がいいのは、ゴールが明確な(仕様がハッキリしている)案件や、発注者が品質のジャッジが比較的しやすい案件です。例を挙げると、前者はシステム開発、後者はライティング業務などです。
そういった案件ではなく、企画力や表現力、デザイン力が求められる仕事は、「課題の本質を見極める」「アイデアを出す」「意見をまとめる」「判断をする」スキルを持ったディレクターが不在だと意思疎通が難しくなり、やりとりがうまくいかず、依頼する側も受注する側も迷い、精神的な負担が大きくなってしまいます…。
クラウドソーシングで重要なのは、ディレクター(舵取り役)の存在です。個人的には「クラウドソーシングでの仕事のクオリティは、依頼者サイドと発注者サイドの、両ディレクターの手腕に比例する」と思っています。
クラウドソーシングは主にインターネット上でやりとりをするため、“依頼するスキル”と、“受注するスキル”がシビアに問われます。それに対応できるスキルを持ったディレクターがいないと、関わる人の負担が大きくなるだけでなく、仕事のクオリティもガクンと落ちてしまいます。結果、依頼者、受注者ともにクラウドソーシングを利用する意欲がなくなり、一部の優秀な受注者だけに仕事が集まるという現象が起こります。事実、そんな話もよく聞きます。パレートの法則ではありませんが、クラウドソーシング市場の8割を担っているのは、2割の受注者かもしれません。
クラウドソーシングは、そのような時期に来ているのではないでしょうか。
今後、クラウドワークスが業績を伸ばすとしたら、個人の意見を言わせてもらえば、優秀なディレクターを増やすしかない。クラウドワークスが切り拓いた市場は決して小さくなく、多くの人の働き方を変えるきっかけをつくったのは事実です。世の中への貢献度は非常に大きい。だからこそ期待してしまうのは、今後ディレクターを育成する環境を整備すること。そういった機会を創出すること。そうすればもっと、働き方は多様化され、楽しく働ける人も増えてくるはずです。たぶん、地方で働ける人も増えてくる。
クラウドワークスの、ディレクターを育成する環境づくりに今後期待しています。
だって、クラウドソーシングでレベルの高い仕事をするのは、本当に難しいことですから…。