経営者でも、一般のビジネスマンでも、この厳しい時代に生き残っていく人は「大金」ではなく、「1万円」の使い方が抜群にうまいものです。
これ、ひとつの結論だと断言してもいいと思います。
例えば、広告費や販管費。
その貴重な1万円を削減するべきか。反対に上乗せして、アプローチの分母を増やすべきか。別な何かの予算として使うべきか。
例えば、値下げ交渉をされたとき(あるいは、する)とき。
数万円程度なら値下げに応じるべき(あるいは、お願いするべき)シーンなのか。強気で闘うシーンなのか。
例えば、個人的に会食やセミナー、勉強会に呼ばれたとき。
何かが生まれる可能性がある限り、すべてに参加するべきか。しっかりと見極めた上で、1万円の身銭を切って参加するべきか。
そのような「1万円」をめぐるシーンは、日々数えきれないほどあります。
その1万円をケチったことで、100万円の売上げを失った企業も少なくありませんし、その1万円の粗利を追求するために値下げを断行して、外部の協力会社やクリエイターが離れていったケースもあります。そんな話、よく聞いたりしないでしょうか? 反対に、無駄な1万円を使い続けた結果、社内の経費に対する意識が希薄になり、あらゆるシーンで無駄に経費が使われ、それがちりも積もれば…となり、事業が傾いた企業もあります。
企業という視点で見ても、個人の視点で見ても、その1万円で何かが大きく動くことがあります。1万円は大切ですし、1万円にこだわれないと、ビジネスは確実に失敗すると思います。ただ難しいのは、「節約」と「ケチ」は違うということ。
先日、テレビ番組の「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、ユニバーサルスタジオジャパンのマーケターである森岡毅さんが密着取材を受けていましたが、メインの内容は450億円規模のプロジェクト(ハリーポッターのアトラクションです)をどう成功に導くか、でした。
とても面白い放送で学ぶべきところも多々ありましたが、そんな大金を動かすシーンはそれほどないですし、大金の動かし方よりも、目の前の1万円をどう動かすかの方が圧倒的に重要です。森岡さんは1万円の動かし方も、抜群にうまい人だと思いますが…。
こうやって書いてみると、「当たり前だよ、そんなこと」とほとんどの人が言われると思いますが、でも意外に「1万円」をどうするかの判断を(無意識に?)軽視してしまっていることが多い…。「1万円」の判断をいかに大切に、慎重に、強く意識できるか、ここに大きな差が生まれるポイントがあると思うのです。