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ガソリンスタンドのお兄さんのプレゼン術

今週の火曜日、「この人はプレゼンがうまいな~」と、心から思える人と出会いました。それは、ガソリンスタンドのお兄さん。坊主頭にキャップと作業着。昔はちょっとやんちゃだった? という風貌ですが、笑顔が素敵な人でした。

 

セルフ式のスタンドだったので、ボーっとガソリンを入れていると、そのお兄さんがサッと近づいてきて「添加剤のプレゼン」を始めました。給油口に貼ってある、もうかれこれ10年以上も添加剤を入れていないことを証明するシールに目を付けられたわけです。

これまではガソリンスタンドで添加剤を勧められたときも、その効果だったりを専門知識を持つ人から多少は聞いていたので(無意味だとは言いません…)、ずっと断り続けてきました。

 

でも今回は「いや、いいです…」と断る隙を与えずに、お兄さんはその効果やリスクを情報提供という切り口でプレゼン開始。ただ、押し売り感もなく、説明が非常にわかりやすく、しかも話が面白かったので、そのままプレゼンを聞き続けてみました。

 

そして、話を聞いている途中で「そう言えば、価格はいくらなんだろう?」と思った瞬間、「自動車用品店での価格は…」と、市場価格を伝え、「効果が出なかったらなぁ…」と思った瞬間、「もし効果がなかったり、他よりも価格が高かったりしたら、クレームを入れてくれていいですから」と。お客の思考の流れを完全に読んで、客から出てくるであろう「?」を先手先手で潰していく。

 

で、ここで少々強引にクロージングにかかると思いきや、「1ヶ月に1回はハイオクを入れてみると…」と、また情報提供的な雑談を入れて、あえて一歩引いてみる。いや、その口調、その間、その押しと引きはお見事でした。勉強させてもらったので、添加剤を入れてもらうことにしました。添加剤に、というよりも、お兄さんのプレゼンにお金を払ったような気持ちです。

 

ガソリンの給油口とエンジンに添加剤を入れているときも、「ほうほう、なるほど」という小ネタや雑談を織り交ぜ、楽しい空気を演出してくれました。ガソリンスタンドが面白いと思ったのは、初めてかもしれません。場を作れる人は、ガソリンスタンドだろうとどこであろうと、どこでも活躍できるだろうと思いました。

 

添加剤注入後、このお兄さんのプレゼンをもう少し聞いてみたくて、すり減ったタイヤを指さし、「このタイヤ、もう交換したほうがいいですよね? タイヤの交換はできますか?」と聞くと、「タイヤについて知っておくべき知識」をまたまた面白く話してくれて、「もし交換を希望される場合は、ここではやれないので、姉妹店で安くやらせます。店長に手紙を書いておきますので、それを見せてください。安くやるようにって、しっかりと書いておきますから」と店長宛にその場で手紙を書いてくれました。また、その字も上手。

 

結論。

相手の心を読める人は、攻めるときと引くときのさじ加減が絶妙で、相手が求めている情報を読み違えず、適切なタイミングで提供できる。つまり、繊細なんです。そして何より、笑顔の大切さを知っているので、笑顔が素敵。