日刊「自分の仕事は、自分でつくる」

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「惚れた男の話」でもしましょうか

今、オススメの1冊!

「自分メディア」はこう作る!


「セカンドカーが壊れて廃車になったから、新しい軽自動車を買おうと思うんだけど、買うときについてきてもらってもいい?」
1〜2週間前に、実家の母親からそんな連絡が入りました。

 

どこで買うのかと訪ねたら、まさかの「ジモティー」。
近所に住む友人に教えてもらったそうで、調べてみたら手頃な車が見つかったとのこと。ただ、会員登録が上手くできず相手とやりとりができないので、日程調整と現車の確認に一緒に行ってほしいと。僕も心配だったので、ついていくことにしました。

 

で、現車確認の当日。現れたのはオレンジのつなぎを着た、僕よりも年上の男性。
一瞬「ちょっと気難しい人?」と思ったのですが、その印象はすぐに変わって、丁寧に対応してくれました(このあたりのコミュニケーションは、ニッポン手仕事図鑑の仕事の中で磨かれています)。

 

「ジモティー=個人売買」だと勝手に思っていたのですが、個人で会社を経営されている人でした。本業はレッカー業(自動車ロードサービス業)。話を聞いてみると、初代セルシオの開発担当をされていた技術者。つまり、元トヨタ自動車の社員というキャリアの持ち主でした。

 

僕が驚いたリアクションを見せると、「『なぜ、トヨタを辞めてまでこの仕事を?』って、後輩にも聞かれるんですよ」というので、すかさず「その理由を聞いてもいいですか?」と尋ねてみると、「車に関する仕事をあれこれと見てきた中で、レッカーの仕事が一番『ありがとう!』って言われるんですよ。『ありがとう!』って言われる仕事がしたいし、それが仕事のモチベーションになっています」と。

 

そして、肝心の車は…。
その日に契約しましたが、受け渡しはできませんでした。

 

「どうしても交換しておいたほうがいい部品があって、実はパーツを取り寄せていたんですけど、届かなくて…。でも、直しておいたほうが長く乗れるので、しっかりと修理してからお渡しします」と言うのです。

 

僕も一応、『東京カレンダー』という雑誌で、試乗記の連載を持っていたので、車について少しは知っています。どこがどう悪いのかを丁寧に説明してくれたのですが、正直そのまま売ってもまったく問題ないレベル。しかも、部品代や工賃を一切請求しないどころか、「パーツが用意できなかったのはこちらの問題なので、無償でご自宅までお届けしますね」と。

 

整備士のプライドだと言えば、そうかもしれません。でも僕は、1時間程度のやりとりの中で「『ありがとう』がモチベーションになる」というのが本心なのだと感じました。いや、確信しました。

 

「『ありがとう』がモチベーションになる人」は、やっぱり良い仕事をするし、何よりも仕事をする姿勢がかっこいい。正直、50歳くらい(もしかすると、40代後半? 自分と同世代?)だと思っていたのですが、話を聞くと、まもなく60歳になるとか…。驚きました。

 

どのような気持ちで仕事に向き合うかで、若さもかっこよさも、保てるのかもしれません。以上、「惚れた男の話」でした。