自分の仕事は、自分でつくる

明日の仕事のヒントと、行動力の高め方

小学生の95%は、書道の授業で「石の硯」を使っていない

ご存知でしょうか?
全国に87万人いる新小学校3年生のうち、石の硯を使っているのは、たったの5%です。残りの95%は、「硯」と“呼んでいる”プラスチック容器に墨汁を入れて使っています。ちなみに墨汁すらも使わず、水と筆だけで書道の授業が行われている学校もあります。

 

僕個人の考え方になりますが、ちょっと未来が怖くもあります。
伝統工芸の職人さんを応援するメディアとして、石の硯や固形墨、あるいはナイロン製でなく、動物の毛でつくられた筆を使ってほしい! と言いたいわけではなく、小学校の頃に書道をやっていたので、残念で悲しい…というような理由でもありません。

 

便箋で1〜2枚のお手紙を書くとき、どのくらいの墨が必要か? パッと答えられる人は意外に少ないと思います。
正解は、数滴(4〜5滴)。そのくらいで十分なのです。

 

では、硯に数滴の水をたらし、お手紙が書けるようになるまで墨を磨る。どのくらいの時間が必要でしょうか?
正解は、1〜2分。そう、そのくらいで十分なのです。

 

書道で教えるべきは、筆で上手く字を書くことではありません。
墨を磨っている1〜2分の中で、お手紙を書く相手のことを思い、綴る言葉を考える時間の大切さ(豊かさ)を伝えることだと僕は思っています。その1〜2分さえももったいないという人がいれば、そこを押し付けるのでなく、一緒に考えていくことが書道であり、教育なんじゃないかな、と。

 

小学生の95%は、「石の硯」を使っていないという事実。
教育現場を変えるのが難しいのであれば、ひとりひとりの大人がどう子どもたちと向き合うか、僕はもっと真剣に考えていきたいと思っています。