「答えは“CM”のあとで」
テレビでよく見かける手法ですが、よほど面白い振りをしないと、視聴者はチャンネルを変えます。実際にチャンネルを変えた経験がある人は多いと思いますし、仮に続きが気になっていても、「CMの間に、他の番組でも…」とチャンネルを変えたら別の番組のほうが面白くなってしまい、観ていた番組のことを忘れてしまった…という経験も、ほとんどの方が1度はしていると思います。
ビジネスシーンでよくあることですが、「一旦、考えてみます」と答えを保留して(別の話題に変えて)、“答えを求められているのに”あとで答えを出そうとする人が少なくありません。でも、実はその瞬間に「チャンネルを変えられてしまっている=自分以外の別の人に興味や注目が移ってしまっている」ことが多々あったりします。そう、知らず知らずのうちに、自分を見てくれている人が離れてしまっている…。
テレビはさておき、ビジネスでの商談や会議のシーンでは、僕は「答えを先延ばしにしないこと」がとても大事だと考えています。だから、答えを求められたシーンでは、その瞬間、自分の答えを即興で出してしまったほうがいい。
「答えを出せるものなら出したいけど、答えが出せないから、『CM(=別の話題)のあとで』となってしまうんですよ…」
そんな声が聞こえてきそうですが、バッサリと斬らせていただくと、その場で答えを出す実力がないのなら、商談や会議の場で求められるであろう「問い」を想像力を最大限に発揮して、答えを事前に準備しておけばいい。
事実、僕も即興で答えが出せる実力がない時期は、「こういう話の展開になるんじゃないか?」「こんな質問や相談をされるんじゃないか?」と想像して、事前に答えを準備しておき、予想通りの問いがやってきたときは、まるで即興で答えを出しているように振る舞いつつ、「私の考えをお話させていただくと…」と、自分の答えを相手に伝えていました。そこでもし、ちょっと考えますね…と言ってしまうと、「わかった。では、◯◯さんはどう?」と、回答を求められる(注目される)人が、自分以外の別の誰かになってしまうのです。
次のチャンスが与えられるのは、そして誰かに求められるのは、常にすぐに答えを出せる人。その場で答えを出すスキルがなかったとしても、事前に答えを準備できる人なのです。そう、「答えは“CM=別の話題”のあとで」と言っているうちは、他の誰かにチャンスが逃げていっているのです。