ニッポン手仕事図鑑というメディアに期待をしていただいているからこそ…だとは思いますが、僕らの日々の行動に対して、時折「気配りがない…」「配慮がない…」「ニッポン手仕事図鑑らしい温もりがない…」というお叱りの言葉をいただきます。お恥ずかしい限りですが、それは真摯に受け止めるしかない…。
最近はありがたいことに、業界の第一線で仕事をしている人たちとお話をさせていただく機会が多いのですが、表現の方法は違うものの、「高度なテクノロジーや高いスキルを持っているだけでは、もう生き残ってはいけない。人として大事な気配りや温もりを忘れてしまうと、先行きは必ず厳しくなる…」と、ほとんどの人がおっしゃっています。このことを「そんなのは、綺麗事だよ」「いや、当たり前だよね…」と切り捨てるような人は、少なくても僕が知っている限りではいません。
今日の朝、ホテルをチェックアウトしたとき、1通の手紙をもらいました。特に不快な思いをさせられたとかではなく、チェックアウトのとき、「ありがとうございました」の言葉とともに、サッと差し出されたのです。そこには確かに、気配りや温もりがありました。朝からとても気持ちがよかった。
でも、これはやってもやらなくても、どちらでもいいことで、今は「お客さん」と呼ぶ人たちとコミュニケーションを取ろうと思えば、アプリやSNSで簡単につながれて、WEB会議で顔を合わせることもできる時代。そんな時代だからこそ、「“足”を使った営業は古い」と謳うサービスも出てくる時代です。それらを否定するつもりはなく、効果的なものは積極的に活用していくべきだとも思っているのですが、ただ、テクノロジーに頼りすぎてしまうと、いつの間にか「気配りや温もりの感度=レベルが下がってしまう」ことがある。そして、自分自身を客観視することが難しいので、レベルが下がったことになかなか気づけなかったりする…。
SNSでは上手くコミュニケーションできるのに、リアルなシーンでは“コミュニケーション下手”になってしまう人が多いのも、その弊害のような気もしていますが、テクノロジーに頼るのもほどほどにして、体温を感じる距離感でのコミュニケーションを増やして、「気配り」や「温もり」の感度を保つことが大事だと思うのです。