某大手「雑誌取次(取次店)」の支社のオフィスビルが、自宅の近くにあったのですが…。
一棟丸ごとその会社のビルだったのですが、少し前から撤退のための工事が始まりました。ビルそのものも、たぶん取り壊されてしまうのだと思います。
どうやら本社(都内)へ移転するようですが、その理由は「お得意様の皆さまへの情報サービスのスピードアップ…」とのこと。それならそもそも支社なんて…という話はやめておきましょう。
雑誌の取次店とは、全国の書店へ本を配本する卸業者のことです。わかりやすくいうと、出版社が全国の書店に書籍や雑誌を届けるのは大変なので、出版社から書籍や雑誌を預かり、書店に届ける役割を果たしています。
しかし、です…。ここからが本題です。
電子書籍や物流網の進化、そしてamazonの登場により、「取次店」の存在感が薄れてきているのは事実です。しかもその昔、取次店は出版社に対して横暴なこともしてきたようなので、あまりいい印象を持っていない方も多いようです。詳しくは伏せますが…。
ここでひとつ誤解を解いておくと、以前勤務していた小売業の新規事業として、ひとりで出版社を立ち上げたとき、この大手取次店のある担当者の方には本当にお世話になりました。小さな出版社の立場からすると、助けられることも本当に多く…。なので、個人的には取次店に悪い印象はまったくありません。
しかし、先ほども書いたように、電子書籍やamazonで本を消費者=読者に届けることができ、それでビジネスが成り立ってさえすれば、中間マージンをとる取次店の存在感は薄れていってしまいます…。取次店はここからどのような存在感を見せていけるのかが勝負です。
個人的には積み上げてきた膨大なデータや「市場を読む先見性」がある方も多いと思うので、企画やアイデアを提供するビジネスに、もう少し力を入れていってもいいような気がしています。
いずれにしても、時代の変化についていけない「成功事例」にしがみついたままでは、取次店の存在感は薄れていくばかりだと思います。ま、当然いろいろと考えられているので、余計なお世話だと思いますが…。
これは取次店だけではなく、他の業界も同じです。デジカメの登場によって、カメラマンの立ち位置が変わってしまったように、IT技術の進化によって、WEB制作会社のビジネスモデルが変わってしまったように…。
その業界の中でどのように存在感を出していくかも重要ですが、昔よりも時代の変化が早くなっている今の時代、絶対に必要だったものが、あっという間に不要になることもあります。自分たちの仕事や業界そのものが世の中で存在感を出せるのか、しっかりと見極めていかなければならないと思います。
そのために技術、サービス、データ、経験、人材など、自分の会社にはどのくらい、「世の中に必要とされるもの(=財産)」があるかを、1度整理しておくといいかもしれません。
もちろん、これは企業だけではなく、個人としても重要なことです。必要とされる人材として社会で生き残っていくために、じっくりと見つめ直してみることも必要だと思います。
[今後の予定(備忘録)]―――――――――――――――――
□東京カレンダーでの連載 □ココナラ
□岸田一郎さんとのコラボ □バイヤーという仕事
□KENWOOD □キムタクと勝手にコラボ
□出版社を立ち上げる □被災地での1泊2日